ネコの模様とシッポの長さの謎
ネコの模様にはどうしてこんなにも種々雑多なんでしょか・・・
はっきりとした定説は無いようですが、ネコの基本模様は、単色とトラ模様といわれています。
そして、それぞれのデザインのルーツは、そのネコの先祖がどのような環境で生きてきたかを表しているようです。
そもそもネコは待ち伏せ、忍び寄り型の夜行性ハンターで、獲物となる小動物からなるべく姿を隠していたいはず。
それには砂漠なら茶色、草むらならシマシマといった具合に、背景に溶け込んでしまう迷彩色の柄が有利です。
そうした迷彩色のネコは当然エサもいっぱい捕れ、生き延びて子孫を残す確立が高かったでしょう。逆に、あまり姿を隠す
のに適さないようなデザインのネコは、子孫を残すまもなく飢え死にしてしまった可能性が高いといえます。
そうして、世界各地で、その土地にあったデザインのネコが増えていったのでしょうが、その後、
人間と付き合うようになって移動の範囲も広くなった結果、混血がすすみ、現在のような何でもありの
デザインができたのでしょ。また、人間と交流が深まると、自然本来とちがった流れも生まれました。
例えば、白猫は劣性遺伝で、しかも自然界では生き延びる確立が低いはず(雪原とか以外では
目立ちすぎます)。しかし、人間が “幸運のシンボルだ!” と大切にしたため、本来より数が増えたのです。
反対に、黒猫は夜行性のネコとしてみれば保護色、迷彩色としても完璧ですから、もっと沢山居ても
いいはずなのですが “不吉だ!” と思われて迫害された歴史が長かったため、本来より数が少なくなっているのです。
ところで雄のミケネコ問題というのもあります・・・
雄のミケネコは “幸運のしるし” として珍重されますが、彼らは完全なミュータント。ネコの色を発現する遺伝子は
性遺伝子の上に乗っていて、正常なネコはみんな2つの性遺伝子を持っています。本来ミケの3色を発現するには、
雌の性遺伝子が2つ必要。つまり、ミケネコにはすでに2つの性遺伝子が存在し、その上雄の性遺伝子を持つとなると、
3つの性遺伝子を持つことになります。だから、雄のミケネコは、いわば突然変異。ちなみに、雄のミケネコが
発現した場合でも、彼らには生殖能力が無いため、子供は作れません。
さて、シッポについては、長いネコ、短いネコ、曲がったネコなど色々ですね・・・
イエネコ以外のネコ属は、殆どが長いシッポを持っているので、長くてまっすぐなシッポが自然の形と考えてよさそうです。
しかし、日本ではよくシッポの短いネコを見かけます。実は、シッポの短いネコは突然変異で生まれるのですが、
短い遺伝子は優性遺伝。シッポの長いネコと短いネコの間に子供が出来ると、シッポの短いネコが生まれやすいのです。
また、シッポの曲がったネコというのもいます。これも、シッポの長い遺伝子と短い遺伝子が混ざり合った結果、
まっすぐにもなれず、かといって短くもなれず、といった時、曲がったシッポになってしまうようです。
また、日本では短いシッポのネコが多く、外国では長いシッポのネコがほとんど。これは、外国では長いシッポを好む人が
多かったせい。日本では、かつて短いシッポのネコの方が大事にされていたので、現在でも短いシッポのネコが
多いのです。では日本でなぜ短いシッポのネコが喜ばれのたかというと、これがなんと怪談の影響。
化け猫のシッポはみな長い=短いシッポのネコは化けないと思われていたから。
黒猫といい、シッポの長短といい、人間の勝手な誤解やエゴが随分ネコの運命を左右してきたのです。
「ネコの気持ちが100%わかる本」より
日本のネコ
サイパンのネコ